サプライチェーン・マネジメントと返品の関係に関する実証研究(2016)

日本物流学会誌第 2 4 号 平成 2 8 年 5 月

昨今,SCMは返品の抑制効果を有する取り組みとして認識されてきている.本研究では,SCMをサプライチェーン・プロセスに関する組織内外部の統合と捉えたうえで,SCMと返品の関係性についての実証研究を行う.方法論としては,SCMによる返品の抑制効果に関する仮説を構築し,その検証を,製造業の関係者に対するアンケート調査から得られたデータを用いた構造方程式モデリングにて実施する.分析結果は,内部統合については返品の抑制効果の存在を示唆したが,顧客統合については仮説とは逆に返品を促進する効果の存在を示唆した.最後に,結果に基づいてディスカッションを行い,インプリケーションと今後の研究課題を見出す.