調剤医療費の低減を目的とした薬剤師と薬局に関する提言(2016)

要旨
  年々上昇し続ける医療費は2015年現在で37.5兆円にまで達した。本研究では、調剤薬局医療費の引き下げに焦点を当て、薬局の開局更新基準の緩和とかかりつけ薬局控除という2つの提案を行う。第1の提案で未資格補助者や機械の導入により能力未使用率を改善することができる。しかし、薬剤師の数を減らすだけでは理解されないということから薬剤師の数を減らすことにつなげるのではなく、別の機会で活躍してもらい、さらなる調剤医療費の抑制が可能となるための職能転換が必要とされる。軽い症状で病院に行く患者が増えていることが調剤薬局医療費を上昇させる原因であることから、所得税と住民税における「かかりつけ薬局控除」の導入を第2の提案とした。これらの提案により調剤薬局医療費を下げることができるだけでなく、薬剤師が国民の健康管理をより身近で支え、薬剤師が国民に寄り添うといった薬局の本来あるべき姿である、かかりつけ薬局を目指すことができる。